町医者の生態をゆるくつづったブログ

将来の夢 (妻バージョン)

 妻の投稿が、12/20 産経新聞夕刊 「夕焼けエッセー」 に掲載されました!!
この場を借りて ご紹介します。


 「母さんの将来の夢って何?」
大学受験生の次男が聞いてきた。
小論文のタイトルの一つらしい。
 「そうねえ…かわいいおばあちゃんになって、
孫たちに囲まれて幸せに 暮らすことかしら」。
そう答えたものの、何かしっくりこない。
まだ40代なのにおばあちゃんになるのが夢?

 私の将来の夢ってなんだろう?
 子供の頃は、かかりつけの女医さんに憧れた。
やがて看護師になり、結婚・子育てブランクを経て、
夫が医院を開業したと同時に再び白衣を着た。
一人前の看護師になって、夫とともに地域医療に貢献する…
いつの間にか、夢は現実になっていた。
その先の夢など考える間もなかった。

 医院には赤ちゃんからお年寄りまで、さまざまな方が訪れる。
開業当時の赤ちゃんは、今ではニキビ面の中学生に。
やんちゃな中高生だった少年少女は若いパパママになり、
子供を連れてくる。
 ある日、いつも来院する4歳の女の子が診察室に入るなり、
「大きくなったら かんごくさん になるねん。」
と笑顔で言った。私は自分の働く姿を認めていただいたようで、
とてもうれしかった。

 この子供たちが将来の夢は看護師になりたい、
喜多岡医院で働きたい、と思ってくれたら…。
それが今の夢かもしれない。
憧れの看護師さんと言ってもらえるように、
日々成長を続けていこう。

 悩みながら小論文を書き上げた次男は、
来春から看護大学生になる。