町医者の生態をゆるくつづったブログ

喘息とCOPDについて

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 医師会と天王寺にある3つの病院;大阪赤十字病院・大阪警察病院・第2大阪警察病院(旧NTT西日本病院)の合同講演会が開催されました。第8回となる今回のテーマは、

「長引く咳」についてでした。主に喘息とCOPDがとりあげられ、かかりつけ医と病院の呼吸器内科専門医との連携をはかることができました。

 これから、気温が下がり、空気が乾燥してくるといろいろな原因でせきが出る患者さんが増えますが、今回の講演会・討論会でとても実臨床に沿った、理解しやすい疾患整理ができました。

 一般の方に知っていただきたいのは、喘息治療のおいての吸入ステロイド薬の重要性です。過去に副作用が過大に強調されることによって使用がためらわれたり、不充分な使用しかしてこなかったりすることで、喘息死が大変問題となっていました。現在でも吸入薬に対する偏見は完全には払しょくされておらず、全国では毎年1000人以上の方が命を亡くしています。十分な量の吸入ステロイド薬を使用することが最も重要であり、副作用も大変限られたものに限定されることを知っていただきたいです。

 また、COPDに関しては「それっていったい何の病気?」と言われる方が多く、長期間の喫煙を基礎とする、閉そく性の肺の病気であるこの名前を一般に広く啓蒙する段階が現状であり、まだまだ治療成績や予後の改善について一般的に知られるようになるのは先のお話であることがよくわかりました。

 いずれの病気にしましても、開業医と病院専門医の密な連携が必要であり、このような講演会の機会をこれからも多く持つことの重要性を感じました。