町医者の生態をゆるくつづったブログ

病原性大腸菌による食あたり・食中毒について

 この時期は 食べ物が原因の 下痢・発熱・おう吐などが 多く発生しますが、今年は、病原性大腸菌が原因となっているかたがよくみられます。
 今年有名だったのは 焼肉酒家「えびす」の ユッケから検出された O-111菌で 120人が食中毒を起こし5人の方が亡くなられました。 15年前の堺の学校給食での O-157菌は 約9000人が下痢をして 3名の女児が亡くなりました。 また 最近の生レバー禁止も O-157をはじめとする 病原大腸菌を排除できないことが理由とされています。
 大腸菌に病原性があるかないかは O抗原とH抗原という 血清学的分類により以下のようにわかれています。

  *腸管出血性大腸菌(EHEC): ベロ毒素を産生し最も強い病原性を持つ

        O-157 O-111 O-26 O-128 など

  *毒素原性大腸菌(ETEC): 菌が産生する毒素により、下痢を引き起こす

        O-6 O-8 O-11 O-15 O-27 など

  *腸管侵入性大腸菌(EIEC): 腹痛 下痢 血便 など赤痢様症状

        O-28 O-29 O-112 O-143 O-152 など

  *腸管病原性大腸菌(EPEC):サルモネラ様の急性胃腸炎で多くはこのタイプ

        O-26 O-125 O-126 O-158 など

 やはり、肉類(とり・ブタ含む)の 火の通りの悪いものから検出されることがほとんどなので、みなさん注意しましょう。 通常の下痢とは違うと感じたら 下痢止めを安易に使用せずに 早めに 医療機関を受診しましょう。