町医者の生態をゆるくつづったブログ

アルコールと肝臓について

 “酒は百薬の長“と言われますが本当でしょうか?

昼間のストレスを忘れ、リラックスして血液循環がよくなる効果などがあり、

赤ワインのポリフェロールには動脈硬化予防効果があるとも言われています。

これらはみな本当であり、科学的にも証明されている事実です。

 ただし、アルコールが健康に良いのは、とても少ない量に限ってのことです。

日本酒なら1合(180ml)まで、ビールなら大びん1本(700ml)まで、

ワインならグラス一杯まで、ウイスキーならシングル(指1本)一杯までです。

もちろどれか一つだけですよ!

女性の場合はこの半量と言われています。

この量を超えると、効果を上回る害がありますので注意が必要です。

また、いくら少量でも毎日飲み続けるのはダメで、

一週間に二日連続の休刊日をつくり、飲酒するのは週五日にとどめてください。

量が少なくとも毎日飲酒しなければ気がすまないのは、アルコール依存症です。

常習飲酒者は、休刊日が作れるかどうかためしてみてください。

また。適量を超えると、肝臓に負担がかかり、

脂肪肝からアルコール性肝炎、肝硬変、肝臓がんへと進行することもあります。

お酒に強い人、つまり肝臓でアルコールを分解する酵素がとても多い人でも、

肝臓には障害が起こらなくとも、血管が動脈硬化で傷んでしまい、

脳卒中や心臓血管発作をきたす可能性があります。

健康診断で、γGTPやAST(GOT)・ALT(GPT)が高いと言われているあなた、

今のうちにお酒の量を減らしておくのが賢明ですよ。

ピロリ菌と胃がんについて

 胃がんは、99%以上ピロリ菌の持続感染が原因である事が わかって来ました。

今後のピロリ菌対策は、大人と子どもに分けて考える必要があります。


 大人の場合、内視鏡胃がんがないことを確認した後、

ピロリ除菌を行い、さらに除菌確認検査をした後、

1年後に胃内視鏡検査をうけましょう。

その時点で、胃の粘膜の萎縮状態を見た上で、

以後の経過観察の間隔を決めます。

除菌に成功すれば、かなり胃がんを減らせますが、

完全に発がんを排除する事はできません。

ピロリ菌は5歳までに感染しているので、

過去の数十年の胃粘膜の障害を完全に取り戻す事はできないからです。




 一方、子どもについては、未成年のうちにピロリ除菌をすれば

ほぼ胃がんの心配から開放されるため、中学生から高校生のうちに

感染診断を受けましょう。10代のうちに除菌を完了しておけば、

将来胃潰瘍や十二指腸潰瘍にもなりにくく、

胃がんになる確率も99%減らせると考えられています。

10歳以下では、除菌の薬の副作用などの問題から、

14−5歳まで待って除菌するのが良いのではないでしょうか?

10代であれば内視鏡検査なしで除菌する事も医学的には可能です。

但し、この場合は健康保険がききませんので一度ご相談下さい。


*6/24 天王寺区役所講堂にて「胃がんとピロリ菌」について講演してきました。

50男のダイエット大作戦(3)

 前回までの2回で、食事の考え方と減らし方を説明しました。
体重は摂取カロリーと消費カロリーのバランスだけで決まるので、
食事と運動の療法が大切となりますが、
私の場合運動が苦手なので、
色々と本を読みあさり、いい方法が見つかりました。

スロー筋トレです。

走ったり、泳いだり、ジムに通ったりするのは、
時間的にまた体力的にハードルが高いので、
自宅で目が覚めた時にすぐ、5分間だけ
軽い体幹レーニングをするのです。




1. うつ伏せで腕立て伏せの姿勢から
肘をついて身体を直線に保つ。30秒間この姿勢を維持する。


2. 四つん這いの状態から立て膝にして、
右手と左足を伸ばした状態で20秒間づつ維持する。


3. 仰向けに寝て両足をまっすぐに伸ばした状態で
直角から床すれすれまで下ろして行く。10回繰り返す。


4。 仰向けに寝た状態から膝を曲げて、腰を持ち上げる。
30秒この状態を維持する。




 この4つの軽い軽い運動で、1ヶ月ほどで、
体幹(腹筋や背筋・臀筋)がしっかりとしてくるので
身体が軽く感じられ、腰痛がなくなり、
ダイエット効果が増強されます。


運動習慣のない方は是非お試しあれ。




花粉症が完治する時代が来た?

アレルギー性鼻炎の患者さんが激増しています。
スギやヒノキの花粉症だけが原因とは限らず、
SPM(黄砂やPM2.5)、NOx・SOx(硫黄・窒素酸化物)などの
大気汚染、ダニ・ホコリアレルギーなども鼻炎の原因になるので、
花粉症がなくてもこの季節は油断できません。
当院でもこの時期、約20種類の内服・点眼・点鼻・漢方・頓服などを
駆使して治療にあたっています。
 ところで、昨年秋、新しく舌下免疫療法が一部の病院で
保険適応になりました。
以前より、減感作療法といって、スギ花粉症を完治させる治療は
存在していました。
しかし注射を毎週2-3年続けるというのは
あまり実際的ではありませんでした。
しかし、注射のかわりに舌下する(口に含む)
お薬でも効果が期待できれば、という発想から開発されました。
毎日、数年間お薬を舌下することで10-20%の方が
スギ花粉症から解放されるという朗報です。
また約40-50%の方にピーク時の症状軽減が認められるため、
スギ花粉単独で とてもつらい症状の方は
一考の余地があると思います。
ただし、治療開始は夏から秋ごろ始めなければなりませんし、
2週間ごとに3年間の通院が必要で、思ったほどの完治率でもなく
(注射の減感作は40%程度の完治率です)、
強い副反応(アレルギー性のショック)もごくまれに起こりうるので、
時間とお金と効果とリスクを総合的に判断して、
当院では取り扱わないことにしました。
それでもご興味のある方は、ご相談くだされば、
実施して下さるクリニックをご紹介いたします。

すい炎って何?

「背中が痛いとすい炎?」 ってについてよく聞かれるので、
今回は、膵炎(急性すい臓炎)について 解説します。
最近、よしもとの芸人さんが 相次いで膵炎で
入院治療を受けられています。
チュートリアル」の福田充徳さん、
中川家」の中川剛 さん、
次長課長」の河本準一さん などが罹られました。
膵臓は胃の背中側にくっついてあり、
“薄っぺらな数の子“ のような形の内臓です。
膵炎になると、「背中が痛い」「胃が痛い」「おなかが焼ける感じ」
といった症状が出ます。
原因は はっきりしないことが多いのですが、
アルコールの飲みすぎ、脂肪の多い食事のとりすぎ、
胆石できて膵臓をが圧迫すること などが多いようです。
当院は胃腸科ですので、胃の調子が悪いと言って受診され、
血液検査・超音波検査などで 結果的に膵炎と
診断される方は少なくありません。
治療は、入院による安静と絶食・点滴などですが、
重症膵炎では 命を落とすこともあります。
また 一旦発病すると 先の中川さんのように、
何度も再発して 慢性膵炎になることも多いのです。
やはり、病気は予防が第一ですね!
そこのあなたのことですよ。
慢性化すると、糖尿病になったり、
予後の悪い膵がんもできやすくなりますから、
お酒や脂もの、スイーツなども 控えめにしましょうね。

50男のダイエット大作戦(2)

 元来 めんどくさがり屋の私は、
走ったり、ジムに通ったりする気はさらさらなく、
中高年者が 運動で消費できるカロリーの限界も 知っていますので、
体重を落とす手段は まずダイエット中心と考えました。
 今振り返って考えれば、ダイエットに必要なことは、
「 考え方を変えること 」です。
10代や20代で食べていた食事量は、もはや必要ありません。
1日のうちに このくらいは食べなくては と思っている量が、
私の場合多すぎたのです。それが肥ってきた理由です。
今まで、おなかイッパイ食べることが幸せ と思っていました。
ところが スリムな人は、おなかイッパイは嫌だ、
くるしくて身軽に動けなくなるから、腹8分いや7分ぐらいが
ちょうどいいというのです。
 そう言われてみると、おなかイッパイ食べて、
「あー幸せ」と思っていた自分が 恥ずかしくなりました。
動きにくいし、眠くなるし、小腸に血流が集中して、
脳や体にとって 気分のいいものではないのです。
 いやいや、「だっておいしいんだもん!」とも思いましたが、
これもよく考えてみると 間違いだと気付きました。
おなかがすいて、食べ始めは確かにおいしい!
しばらくおいしい、しかし問題はこの後です。
パクパク口の中に 食べ物をほおり込んでいるうちに、
いつの間にか、おいしいからではなく、満腹になるために
食べていることに気付きました。“おいしい”から“満腹”
までの間には かなりの量の差があるのに、
早食いのために それに気付けなかったのでした。
「そうか! おいしいと思える量だけ 食べればいいんだ。」
ひとことで言えば、これが私のダイエットの秘訣です。
(次号に続く)

50男のダイエット大作戦(1)

 平成12年(2000年)、36歳で開業医となった私も、
今年で15年の節目を迎え、
知名(天命を知る)の年、満50歳になりました。
 50歳の目標として ダイエットを掲げ、約1年経過し、
かなり目標に近づいてきたので
私のダイエットについてお話しします。
 思い起こせば1年前の今頃、運動不足とストレスと過食により、
立派な中年太りになっていました。
172cm・74kg・BMI25・体脂肪25%・腹囲89cm 立派なメタボ体型で、
患者さんに減量指導も しにくくなっていました。
 高血圧・糖尿病・脂質異常症がないので、
メタボリックシンドロームではありませんが、
これも「時間の問題」だと、危機感を抱きました。
 また、腹囲89cmでは、フィット感のある服が着られない、
似合わない・売っていない状況でした。
 まず始めた事は、ダイエット方法の勉強でした。
元来不精者なので、無理な運動や、極端な食事制限なしで、
なんとかする方法はないかと情報を集めました。
 「いつまでもデブと思うなよ」 岡田斗司夫著 新潮新書
 「50歳からの肉体改造」
 「読む筋トレ」 森 俊憲著
この3冊に出会い、ちょうど1年経過した今、
体重13kg減・腹囲10cm減・体脂肪9%減のスリム化に成功しました。
今ではとても体も軽くなり、持病の腰痛もなくなり、
体調も良くなってきました。
具体的な方法や気持ち・考え方を数回にわたりお話しします。

食道がんについて

最近世間を賑やかしているがんのひとつに食道がんがあります。
やしきたかじんさん・中村勘三郎さん・淡路恵子さん
立川談志さん・藤田まことさん・岡田真澄さん
宮尾すすむさん・赤塚不二夫さん・西村晃さん
などがお亡くなりになられており、
桑田佳祐さん・小沢征爾さん・山田五郎さん
黒沢年雄さん・なかにし礼さんなどが闘病中です。
 なぜ食道がんはこわいかというと、
早期のうちにリンパ節に転移する性質が強く、
比較的浅い層の早期がんでも、胃がんの3倍転移が多いのです。
治療成績も少し以前よりよくなってはいますが、
治癒されているほとんどの方は、無症状の
超早期がんが人間ドックなどで見つかるからにすぎません。
桑田佳祐さんや山田五郎さんがその例です。
一般的な食道がんはやはりとてもきびしいです。
 原因としてたばことお酒が挙げられます。
タバコをすう・吸わないで約4−5倍発生率が変わります。
お酒を毎日飲む人は、量が少なくても3倍、
日本酒換算1日3合以上飲む人は6倍にもなります。
さらにいうと、飲むとすぐ顔が赤くなる人が高リスクであり、
3合以上毎日飲酒して、喫煙する50歳以上の男性は、
なんと77倍!食道がんになりやすいのです。
心当たりのある方はご注意下さいね。

インフルエンザワクチンの有効性について

 インフルエンザワクチンの有効性について 疑問があるようなので まとめてみます。
まず大人の有効性ですが、1回の接種で インフルエンザに罹る率を 6−7割減らす事ができます。
2回接種しても 8割以上減らすことはできません。
つまり確実に発病を阻止する事は できないのです。
但し、もしかかってしまった場合に、肺炎や髄膜炎脳炎など 重症化したり、
死亡したりすることは 9割以上防ぐ事ができます。
 例えば高齢者の場合、毎年インフルエンザ関連死が1−2万人あり、
かなりの方は ワクチン接種で防ぐ事ができる と考えられています。
このことは幼児にも あてはまります。
小児の場合、接種しても かかってしまう事はしばしばありますが、
なべて軽症です。
ワクチンの発病阻止率は 成人よりも劣りますが、
重症化予防率は遜色ありません。

 15歳未満ぐらいまでの小児と、妊娠可能な女性、
65歳以上の高齢者は 必ず接種をうけましょう。


 広くみんなが接種を受ける事で、個人防衛だけでなく、
家庭や職場、学校や地域での流行を 減らす事ができ、
結果として ワクチンを受けられない人の予防にも役立つ、
社会防衛が証明されています。
 自分が接種する事で 家族や友人、同僚や 他の知らない誰かが  
守られるって、素敵なことだと思いませんか?

気の効用について

 あけましておめでとうございます。
みなさんは“気”の存在を信じますか?
聖書には始めに 言葉ありき と書いてあります。
「元気・病気・陽気・気合い・気がめいる・気がつく・気のせい・気の迷い」
などなど、 日本語には多くの言葉に“気”が入っています。
人間が生きて行く上で“気”はとても大切なものだと思います。
これから流行する、風邪やインフルエンザなどの感染症も、
疲れていたり、睡眠不足であったり、気力が充実していないときに
ひきやすいものです。
また、慢性の病気の進行にも“気”が関係しているように思われます。
例えば、いったん発生したがんの進行・転移が早いか遅いか、
なども“気”の存在が重大と感じています。
 手術後の経過や、抗がん剤放射線治療の反応性・有効性にも、
“気”は大きな影響があるようです。
 まさに“病(やまい)は気から”と言えるではないでしょうか。
みなさんも、今年も気力の充実した年になりますようにお祈り申し上げます。

インフルエンザ流行!

 インフルエンザの流行が 本格的になりました。
昨日までは、毎日1−2名の 来院でしたが、
今日は 7名と 大変に多く、 全て A型でした。
今年の インフルエンザは 比較的 早い時期から
検査陽性 となるようで、 診断に迷う 患者さんは
例年よりも 少ないようです。
 いずれにしても、 大阪 天王寺での 流行は
本格的に なりましたので、 みなさん お気をつけください。

サンタのおばさん(文)

 70代の女性 Iさんは、ひ孫までいるおばあちゃんですが、
とても元気で 若々しい方です。
 親と生き別れたり 死別した子供たちのくらす 児童施設
いわゆる ”孤児院” に 慰問をするのが 生きがい。
 手作りの かわいい人形は いつも大人気だそうで、
いつもすぐに 売り切れとなるそうです。
 当院にも 2体 おすそ分けをいただきました。
でも 手作りの人形って どこか 本人に似ているものですね!

雪の思い出

 今回のスタッフ紹介は、「雪の思い出」です。
院内掲示板に みんなの思い出が 貼ってありますので、
来院の際は 是非ご覧下さい。

 私は 温暖な愛媛のみかん山のふもとで 生まれ育ちました。
それでも 小さい頃は 舗装道路も少なく、 毎年冬には
2−3回は 10cmぐらいの積雪は ありました。
雪合戦や 雪だるまは よく遊んでいましたが、
かまくらが作れるほどの雪は 降りません。
でも テレビの画面では、 雪国でかまくらがよく映っていました。
 とても うらやましくて、 小さい頃のあこがれは、
一度でいいから かまくらを作ることでした。

 大阪にきて はや32年、 やはり かまくらができるほど
雪が積もったことは いまだかつて ありません。

イタリア旅行記 1)

 夏休みを利用して、初めてのヨーロッパ
イタリアに旅行しました。
 ローマ⇒ シエナ⇒ ピサ⇒ フィレンツエ⇒
ベネチア⇒ ミラノ という強行スケジュールで
イタリアの北半分の 主要都市を旅してきました。
 出発日は、台風の影響で フィンランド航空機が
なかなか到着せず イライラした旅の始まりでした。
2時間遅れで出発したものの ヘルシンキからの乗り継ぎが
確約されず なんの用事もない フィンランドに1泊
する可能性がありましたが (特別ムーミンファンではありません)
なんとか 乗継便が われわれの到着を待ってくれたので
予定から少し遅れただけで ローマ空港に到着できました。
 到着のローマ空港では、おそらく公務員である
空港職員のストライキがあり 到着便の
スーツケースが 全く出てこない トラブルにあいました。
 幸い私たちの便は 大丈夫でしたが 
いきなり 何しでかしてくれんねん!! と
前途多難な 旅を 想像させるのでした。